改定された青色申告控除額
改定された青色申告控除額
令和2年分の所得の確定申告から、青色申告特別控除の要件が見直され、これまで通りの方法で申告をした場合、55万円の控除に減額されます。65万円控除を受けるためには、これまでの要件に加えe-Taxで申告する必要があります。
青色申告特別控除は、65万円控除と10万円控除の2種類があります。65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳など満たすべき要件があり、この要件を満たしていない場合が10万円控除になる仕組みです。
青色申告特別控除 65万円控除の要件
◆所得の種類が山林所得のみでないこと
◆不動産所得の場合、事業として行われていると認められること
◆複式簿記で記帳していること
◆現金主義でないこと
◆申告時に、記帳に基づいて作成した損益計算書と貸借対照表を添付すること
◆確定申告の法定期限を守ること
1. 所得の種類が山林所得のみでないこと
青色申告の対象になるのは、事業所得、不動産所得、山林所得ということをご紹介しました。しかし、事業所得または不動産所得に該当する事業を行っていない場合、つまり山林所得のみの場合は65万円控除は認められません。
2. 不動産所得の場合、事業として行われていると認められること
不動産を貸与して所得を得る不動産所得は、その不動産貸付けが事業規模でないと65万円の控除が認められません。事業規模かどうかは、社会通念上の事業といえる程度か否かで判断されますが、「アパートの場合は貸与可能な独立した室数が10室以上であること」「独立家屋の場合は貸与可能な家屋が5棟以上あること」のどちらかを満たせば、原則として事業として行われていると取り扱われます。
3. 複式簿記で記帳していること
帳簿の付け方には、単式簿記と複式簿記というものがあります。単式簿記は、現金というひとつの科目に対して何に使ったものなのかを仕訳していくという、比較的わかりやすい方法です。複式簿記は、取引きの流れをより詳細に仕訳したもので、1回の出入金に対する仕訳に複数の科目を用いることから複式簿記といわれています。
65万円控除が認められるのは、複式簿記を行っている場合です。なお、複式簿記はそこまで複雑なものではなく、会計ソフトなどを利用すると、比較的容易に作成できます。
4. 現金主義でないこと
簿記の基本は「発生主義」といって、現金の動きはなくても取引きが発生した時点で帳簿に記載することになっています。65万円控除を受ける場合、現金の動きがあった時点で仕訳を行う「現金主義」は認められません。
5. 申告時に、記帳に基づいて作成した損益計算書と貸借対照表を添付すること
確定申告を行う際は、複式簿記に基づいて作成した損益計算書と貸借対照表を添付し、青色申告控除を受ける金額を記載する必要があります。控除を受ける順番は、不動産所得の金額、事業所得の金額の順となります。
6.確定申告の法定期限を守ること
原則確定申告の法定期限は3月15日、土日の場合は翌月曜日が期限となります。法定期限を過ぎて提出した場合、65万円控除は認められません。
65万円控除の要件を満たしていない場合10万円控除になる
青色申告特別控除65万円の要件を満たさない場合は、10万円控除となります。
要件を満たしていても、不動産所得の金額または事業所得の金額の合計が65万円より少ない場合は、その合計額が限度になります。たとえば、事業所得が40万円だった事業者は、40万円控除となるのです。ただし、どちらかの所得が赤字だったとしても、赤字相殺にはなりません。不動産所得が100万円、事業所得が-60万円の場合でも40万円控除にはならず、所得金額100万円から65万円が控除されます。
令和2年分の確定申告から青色申告特別控除額が55万円に改正
平成30年度の税制改革で、令和2年分の確定申告から青色申告特別控除額が、65万円から55万円に減額されることになりました。
青色申告特別控除だけではなく、基礎控除額も変更になり、38万円から48万円に増額されます。詳しい改正内容は下記を参考にしてください。
参考
国税庁「令和2年分の所得税確定申告から65万円の青色申告特別控除の適用要件が変わります」
令和2年分の確定申告で65万円の控除を受けるにはe-Taxで申告が必要
令和2年分の青色申告で、65万円の青色申告特別控除を受けるためには、これまでの青色申告の要件に加え、e-Taxでの申告が必要です。
青色申告ができる人個人事業主とは
青色申告は、すべての人が利用できるわけではありません。青色申告を希望する人は、前年の3月15日までに所轄税務署に「青色申告承認申請書」を提出しなければいけません。また、開業届の提出も必要です。
たとえば、2020年2月17日~4月16日(※)に行われる2019年分の青色申告をするには、2019年3月15日までに申請書を提出している必要があります。
新規開業の場合は開業から2ヵ月以内に提出すれば問題ありません。青色申告をするには、事業の種類にも条件があり、事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかがある場合に限られています。サラリーマンをしながら副業でアルバイトをしているような場合は、給与所得なので青色申告をすることはできません。
作成した書類と一緒にプリントアウトできる宛先を封筒に貼り、投函すれば申請手続きは完了です。
直接書類を税務署に提出でも問題ありません。
通常、確定申告の期限は3月15日(土日祝の場合は翌平日)ですが、2020年提出分の確定申告はコロナウイルスの影響で4月16日に延期されてます。